姿勢の改善について

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竹谷内啓介東京カイロプラクティック院長
日本カイロプラクターズ協会会員
RMIT大学健康科学部カイロプラクティック学科卒業。国際カイロプラクティック試験委員会顧問、日本カイロプラクターズ協会(JAC)会長、世界カイロプラクティック連合(WFC)理事を歴任し、現在は日本カイロプラクターズ協会顧問として、国際標準のカイロプラクティック教育や臨床の普及および日本カイロプラクティック科学学会での研究事業に携わる。主な共訳:カイロプラクティックの安全性と教育に関するWHOガイドライン(世界保健機関)、カイロプラクティックテクニック総覧(エンタプライズ)、脊椎のリハビリテーション(エンタプライズ)など。

姿勢とは
姿勢には「態度」という意味もありますが、一般的には、立っている状態(立位)や座っている状態(座位)など静止時の身体の姿、あるいは歩いている状態など動作時の身体の姿を指します。「よい姿勢」とは、できるだけ身体への負担が少なく、かつ身体を効率的に動かすことができる状態をいいます。また、体の大きさや体型(瘦せ型・肥満型など)によって、理想的な姿勢は一人ひとり異なります。意識的に正しい姿勢を保つことを続けることで、次第に自然と良い姿勢をとれるように身体を使えるようになることが理想です。ただし、姿勢を過度に気にしすぎることも望ましくありません。姿勢はカイロプラクティックの検査・評価における重要な指標のひとつではありますが、必ずしも症状と直接結びつくとは限りません。よい姿勢は、見た目や症状の改善だけでなく、呼吸のしやすさなど自律神経系の働きにも影響を与えます。カイロプラクティックケアでは、症状の改善にとどまらず、可動域の向上を通して良い姿勢を保つための治療やアドバイスも行います。

「よい姿勢」の例
立位姿勢を横から見たとき、頭上からプラムライン(鉛直線)を下ろし、以下のポイントを通過する状態が「よい姿勢」とされています。
- 耳の穴
- 肩の真ん中
- 腰椎の中心
- 股関節中心の少し後方
- 膝関節の少し前方
- 外側くるぶしの少し前方
ただし、個人差があるため、「よい姿勢」は単に正しい・悪いを判断するものではなく、身体を効率的に使え、動作時に余分な負担がかからない状態を指します。
「よい姿勢」には次のような特徴があります。
① 身体の重心が安定し、踏ん張りがきく
② 筋肉の緊張が適切に保たれ、こりや張りが軽減される
③ 関節の動きが保たれ、身体の可動域が維持される
カイロプラクティックケアを受けると、はじめのうちは「良い姿勢」を意識して保とうとしますが、改善が進むにつれて、意識しなくても自然と良い姿勢を取れるようになります。その結果、次のような日常の癖や習慣が少しずつ解消されていきます。
- 靴の片側だけが減る → 靴底の減り方が均等に近づく
- かばんを片側の肩にかける → 自然と左右交互にかけるようになる
- 反り腰や猫背の姿勢 → 背骨が自然なS字カーブを描くようになる
- 片足に重心をかけやすい姿勢 → 左右バランスよく体重を分散できるようになる
- 仰向けで眠りにくい → 仰向けでも眠れるようになる(※頭の形や背骨の可動域の影響もあり)
- 足を組む → 足を組まなくてもバランスを保てるようになる
- スカートが回る、ジャケットやスーツが着崩れる → 服が自然に整い、着崩れにくくなる
- 靴底の片減り → 靴底の減り方が均等に近づく
姿勢と健康の関係

最近では、姿勢と健康の関係について、多くの医療従事者がテレビや新聞などのメディアで語るようになりました。しかし、今から50年前には、姿勢と健康の関係が注目されることはほとんどありませんでした。当時からカイロプラクターは、重力が脊椎の椎間関節や神経系に与える影響を分析し、姿勢の重要性を一貫して訴えてきました。そしてようやく近年になって、背骨の構造だけでなく、その機能、すなわち静止時と動作時の身体の姿を総合的に分析し、姿勢と健康の関係を語ることが一般的になってきました。
姿勢分析を体験してみたい方は、ぜひ一度カイロプラクティックケアを受けてみることをお勧めします。





