カイロプラクティックと整体の違いとは

- 執筆者
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竹谷内啓介東京カイロプラクティック院長
日本カイロプラクターズ協会会員
RMIT大学健康科学部カイロプラクティック学科卒業。国際カイロプラクティック試験委員会顧問、日本カイロプラクターズ協会(JAC)会長、世界カイロプラクティック連合(WFC)理事を歴任し、現在は日本カイロプラクターズ協会顧問として、国際標準のカイロプラクティック教育や臨床の普及および日本カイロプラクティック科学学会での研究事業に携わる。主な共訳:カイロプラクティックの安全性と教育に関するWHOガイドライン(世界保健機関)、カイロプラクティックテクニック総覧(エンタプライズ)、脊椎のリハビリテーション(エンタプライズ)など。
カイロプラクティックは、整体、リラクゼーション、あん摩マッサージ指圧、鍼灸、柔道整復(接骨)、理学療法、整形外科(西洋医学)とは専門性が異なる独立した療法(専門医療)です。そのため、本来は法律のあるなしに関わらず、カイロプラクターは専門の教育を受けた人々が行う職業です。しかしながら、日本では、法律がないことから、国際基準のカイロプラクティック教育が普及していないため、整体やマッサージ、柔道整復(接骨)など他の療法と同じ括りでカイロプラクティックを扱っているカイロプラクティック従事者が多く見受けられます。法的観点から、また患者がそれぞれの療法について正しい理解をもち、安全に受診できるようにするという点からも、カイロプラクティックを他の療法と同一視することは適切ではありません。


カイロプラクティックと整体の違い
日本では「カイロプラクティック」と「整体」を同義語として使っている方もいますが、当院が提供している国際標準のカイロプラクティック施術は、整体とは異なるものです。
欧米のカイロプラクティック専門大学で学ばれている科学的なカイロプラクティック理論は、生体恒常性(ホメオスタシス)の維持を目的とし、脊椎の解剖学を基盤に、神経生理学および生体力学の観点から身体を分析する学問です。一方、整体は、大正時代にアメリカから日本へ伝わったカイロプラクティック、オステオパシー、スポンジロセラピーなどの手技療法と、日本古来のあん摩などが融合した、手技療法の総称を指します。
よく「カイロプラクティックは西洋医学に基づき、整体は東洋医学に基づく」という説明がありますが、正確ではありません。カイロプラクティックは、身体の構造(解剖学)、機能(生理学)、疾患の原因(病理学)といった基礎医学に基づいた体系的な理論を持っています。ただし、その目的は薬で症状を抑えたり、手術で患部を取り除いたりすることではなく、神経の働きを正常化し、身体本来の自然治癒力を引き出すことにあります。この点において、投薬や手術を中心とする西洋医学とは対照的な自然療法であり、西洋医学に対する一種のアンチテーゼとも言えます。また西洋医学中心の「現代医療」を補完する観点から、「補完医療」とも呼ばれています。ただし、現在のカイロプラクターによる臨床では、科学的理論を積極的に取り入れ、西洋医学の視点からも理解可能なカイロプラクティック独自の理論を確立しています。
国際標準のカイロプラクティックでは、専門大学レベルの教育基準が推奨されていますが、国内のカイロプラクティックや整体には職業としての明確な定義がないため、統一された教育基準や臨床業務の枠組みは存在していません。本来であれば、「カイロプラクティック」と「整体」という名称を区別して使うべきですが、現時点では法律による規定がないため、呼称の使用は個人の見解に委ねられているのが現状です。なお、広告や宣伝効果を狙って、「カイロプラクティック」と「整体」の両方の名称を使用している例も少なくありません。
カイロプラクティックとマッサージの違い
日本においてマッサージを行うには、医師またはあん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要とされています。マッサージとは、主に皮膚や筋肉に対して、もむ・押す・叩くなどの手技を用いる施術を指します。これは、脊椎の調整(アジャストメント)を基本とするカイロプラクティックの手技とは、本質的に大きく異なります。
カイロプラクティックと柔道整復(接骨)の違い
柔道整復(接骨)を行うには、柔道整復師の国家資格が必要です。柔道整復師は、主に骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった外傷に対し、手技による整復や、包帯・テーピングなどを用いた固定によって治療を行います。一方、カイロプラクターは、骨折や脱臼を禁忌として扱うため、その業務範囲は柔道整復師とは大きく異なります。
カイロプラクティックと理学療法の違い
理学療法士は、医師の指示の下で、病気やケガにより身体機能に障害をもつ人に対し、リハビリテーション(運動療法・物理療法)を用いて基本的な身体動作の回復を支援する専門家です。カイロプラクティックは理学療法と近い分野ですが、カイロプラクターは独立して開業し、筋骨格系の機能的異常に対して手技療法を中心に施術を行い、必要に応じてリハビリテーションも取り入れます。
カイロプラクティックと整形外科(西洋医学)の違い
整形外科医は、西洋医学の中でも筋骨格系(骨・関節・筋肉・神経)の器質的疾患(構造的な異常が認められる病気)を診断・治療することを専門とする医師です。治療法には、薬物療法、リハビリテーション(理学療法・運動療法)、装具療法のほか、人工関節置換術や関節鏡手術などの外科手術まで、多岐にわたります。一方、カイロプラクターは、筋骨格系の機能的異常に対して独自の手技療法を用いて、必要に応じてリハビリテーションも取り入れます。
国内の業界
国内では1916年(大正5年)に河口三郎が紹介して以来、未だカイロプラクティックは国家資格ではありません。そのため教育の有無にかかわらず誰もが自由に開業できるため、自称カイロプラクターが多く存在します。中にはマッサージや整体などをカイロプラクティックと混同している人もいます。世界保健機関(WHO)所属の世界カイロプラクティック連合(WFC)に加盟している一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)は安全性と広告の業界ガイドラインを公表しています。
国内の資格基準を作るために、2014年(平成26年)から毎年、一般財団法人日本カイロプラクティック登録機構(JCR)が一定の水準を満たした「カイロプラクター登録名簿」を厚生労働省に提出しています。JCR公式ホームページでは登録者名簿が公開されています。





