カイロプラクターの職業について

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竹谷内啓介東京カイロプラクティック院長
日本カイロプラクターズ協会会員
RMIT大学健康科学部カイロプラクティック学科卒業。国際カイロプラクティック試験委員会顧問、日本カイロプラクターズ協会(JAC)会長、世界カイロプラクティック連合(WFC)理事を歴任し、現在は日本カイロプラクターズ協会顧問として、国際標準のカイロプラクティック教育や臨床の普及および日本カイロプラクティック科学学会での研究事業に携わる。主な共訳:カイロプラクティックの安全性と教育に関するWHOガイドライン(世界保健機関)、カイロプラクティックテクニック総覧(エンタプライズ)、脊椎のリハビリテーション(エンタプライズ)など。
カイロプラクターとは
カイロプラクター(Chiropractor)とは、その名の通り、カイロプラクティック治療を行う専門家です。歴史的に専門職としてはカイロプラクターと呼ばれています。北米や欧州などの法的資格制度のある国々では、プライマリーケア(一次医療)従事者としてDC(ドクター・オブ・カイロプラクティック)とも呼ばれます。このドクターは、決して医師や博士号を示すものではなく、専門職学位や職業の称号を示します。アメリカでは、法学(J.D.)、医学(M.D.)、歯学(D.D.S.)、薬学(D.Phar.)、獣医学(D.V.M.)など、職業として許認可や免許が必要とされる分野で使われています。「カイロプラクティックの博士号を取得」「カイロプラクティック医師である」と記載している人がいたら、その方はそうした専門職学位や職業の称号について正しく理解されていない方です。
カイロプラクターの法的資格制度がある国では、カイロプラクターの治療が医療制度に組み込まれていますが、多くの国では国民保険の対象ではなく自由診療(自費診療)でカイロプラクティックの治療が提供されています。こうした国々で開業するには、①大学もしくは大学院で専門的なカイロプラクティックの教育を4年~6年かけて学びます、②国家試験(州試験)又はそれに準ずる試験に合格します、③政府によるカイロプラクターの登録委員会へ申請して免許が発行されます。欧州では、大学卒業後に研修期間が義務付けられている国もあります。
日本でのカイロプラクターの立場
日本はカイロプラクターの法的資格制度がなく、厚生労働省(政府)は業界を整備していないため、玉石混交の状況です。そこで民間の自主規制団体として、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)が日本で初めてのカイロプラクターの登録機関として設立されました。日本カイロプラクティック登録機構の登録制度では、米国の国際カイロプラクティック試験委員会(IBCE)による登録試験を提供し、行政機関や民間団体と提携して、単位更新制度を設けています。毎年、日本カイロプラクティック登録機構から、カイロプラクターの登録者名簿が厚生労働省へ提出され、現在までに563名が登録されています。
日本では法的資格制度がなく、誰もが自由にカイロプラクターを名乗ることができます。さらにはカイロプラクターの法的資格制度のある国と同等の権利が、正規な教育を受けたカイロプラクターには認められていないことから、国内でカイロプラクティック治療を受診する際の一定の安全性が担保されていない状況です。そのため、国際標準の教育を推進する業界団体の日本カイロプラクターズ協会では、医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師等などの医療系の国家資格保持者に対しても、カイロプラクターとして施術を行う場合は日本カイロプラクティック登録機構への認定登録が推奨されています。
カイロプラクティックを学ぶ方法
世界には国際教育認証を取得したカイロプラクティック専門大学が約60校あります。国際認証を取得した大学とは、全日制カイロプラクティック教育を提供する国際標準の大学で4~5年間にわたり、約4,200時間以上の課程を修了するものです。教育内容には、解剖学・生理学・病理学・神経学・整形外科学などの基礎医学全般に加え、画像診断学やカイロプラクティック理論などが含まれます。日本にはこうした国際教育認証を取得した大学がないため、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどの大学への留学がお勧めです。ただし、円安の影響で年々、留学費用が高騰しています。
一方、すでに国内で短期のカイロプラクティック教育を受けた経験のある方を対象に、日本カイロプラクターズ協会は、WHO基準へのアップグレードを目的とした「臨床カイロプラクティックプログラム」を設けています。
世界のカイロプラクターの人数
世界のカイロプラクターの人数は約10万人といわれています。約10万人のカイロプラクターが従事している100か国のうち、約50か国で医療(ヘルスケア)の専門職として公的に認知されています。主な国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、南アフリカ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、ニュージーランド、フランス、フィリピン、香港、マレーシアなどです。世界の8割は北米在住のカイロプラクターで、約7万人がアメリカ、約9千人がカナダ在住と報告されています。
日本には1~2万人程度のカイロプラクティック業従事者がいることが色々な文献で報告されていますが、そのうち厚生労働省にカイロプラクターの名簿を提出している日本カイロプラクティック登録機構(JCR)に登録されている人は現時点で651人です。人口比率で比べるとまだまだ世界では少ない方です。

The chiropractic workforce: a global review
アメリカ 約7万人
Occupational Outlook Handbook Chiropractor
カナダ 約9,000人
オーストラリア 6,734人
Chiropractic Board of Australia – Statistics
ニュージーランド 752人
Annual reports | NZ Chiropractic Board
イギリス 3,752人
南アフリカ 867人
Attitudes towards limited drug prescription rights: A survey of South African chiropractors
デンマーク 650人
フランス 1,286人
Chiropractic website claims related to non-musculoskeletal conditions: a cross-sectional study
香港 407人
日本 653人





